フィリピンは、日本から飛行機で4時間程度と近く、また観光地、ビジネスの拠点としても人気があり、毎年多くの日本人が訪れています。

さらに昨今、フィリピン人は英語を第二言語として利用していることもあり、語学留学先として非常に注目を集めています。セブやマニラなど、フィリピンの主要都市には語学学校が点在し、年間30,000人以上(2015年現在)の日本人が英語習得を目的に渡航しているようです。

また、日本人だけではなく、多くのアジア人、欧米人も観光やビジネスの他に、移住を目的にフィリピンに渡っていて、目的に応じたさまざまな種類のビザが用意されています。

そこで、フィリピンに渡航する際には必ず知っておきたい「ビザ」について解説します。

無査証短期滞在

フィリピンは日本を含む150カ国と協定を結んでおり、その国のパスポートを持っていれば、30日以内ならビザなしで滞在できます。

滞在の目的が短期間の観光、もしくは商用であり、なおかつ30日以内にフィリピンからの出国を証明できる航空券と有効期限が滞在日数+6カ月以上残っているパスポートを持っていることが条件となります。

しかし、15歳未満の渡航者は、単独もしくは親権者以外が付き添う場合、入国は許可されません。事前に親もしくは親権者が「宣誓供述書」を作成し、入国時に提示する必要があります。なお、1人当たり3,120ペソの申請費がかかります。

短期渡航ビザ

30日以上フィリピンに滞在する予定の渡航者はビザ取得を義務付けられています。このビザを使用して滞在できる期間は最大59日までで、申請料は3,030ペソです。

申請に必要な書類は申請書、有効期限が滞在予定期間+6カ月以上のパスポート、3カ月以内に撮影したパスポートサイズのカラー写真です。

観光目的の場合、その他に経済能力を証明する書類(預金通帳、残高証明書など)、職業を証明する書類(在学証明書、雇用証明書など)の提出が必要です。

一方、商用目的の場合、日本国内の会社からの推薦状(渡航目的や内容、フライトの詳細、滞在先を明記)、もしくはフィリピンの企業からの招聘状(保証人、フライトの詳細、滞在先、法令を順守させることを明記)の提出が求められます。

学生ビザ

18歳以上の学生が、フィリピン国内の語学学校を除く、学位取得目的で高等教育以上(大学、大学院、専門学校)の教育機関に進学するときに必要となるビザです。

学生ビザの申請には、申請書、有効期限が滞在予定期間+6カ月以上のパスポート、3カ月以内に撮影したパスポートサイズのカラー写真、高等教育機関から発行される入学許可証、高等教育委員会が発行する入学資格証明書(医学部などの場合のみ)、日本の都道府県警察から発行された犯罪経歴証明書、医師からの診断書の提出が義務付けられています。

学生ビザの申請料として9,720ペソを支払う必要があります。また、学生ビザは現地で延長を申請することも可能で、申請料として4,020ペソを支払った後、面接を受けます。

一方、非単位取得目的(語学学校など)で就学する場合、フィリピン政府が発行する特別就学許可証(SSP:Special Study Permission)が必要です。

特別就学許可証は、学生ビザの必要なく合法的に語学学校での就学が許可されます。有効期限は最大6カ月で、費用は5,240ペソです。有効期限が過ぎれば、再度申請できます。

しかし、基本的に入学予定の語学学校が申請するので、個人で手続きを行う必要はありません。

特別非移民ビザ

特別非移民ビザとは、資格を有する学者、技術者、もしくはボランティアなどが、フィリピン政府の承認を受けた機関等が主催するプログラムに参加する場合に必要です。

申請には、ビザ申請書、有効期限が滞在予定期間+6カ月以上のパスポート、3カ月以内に撮影したパスポートサイズのカラー写真に加え、日本の警察から発行された犯罪経歴証明書、医師からの診断書の提出を義務付けられます。そして、派遣先もしくは参加する機関(青年海外協力隊など)からの推薦状が必須です。

投資家用特別居住ビザ

21歳以上の外国籍者が、75,000米ドル以上を投資している限り、フィリピンに滞在できる特別ビザです。

条件として、無犯罪証明書、健康診断書、75,000米ドル以上をフィリピンに投資する意志がある者とされています。フィリピンの上場企業の株式のほか、不動産などにも投資できます。

特別居住退職者ビザ

フィリピン政府が支援する退職者を限定とした特別ビザです。

申請には、ビザの申請書、有効期限が6カ月以上残っているパスポート、健康診断書、無犯罪証明書、写真12枚、定期預金証明書を提出します。

なお、定期預金額は年齢によって異なります。年金を受け取っている50歳以上の場合、10,000米ドル以上の定期預金額があり、毎月一定の年金(独身は800米ドル以上、夫婦は1,000米ドル以上)を受け取っていることが条件です。

年金を受け取っていない人の場合、35歳から49歳は、50,000米ドルの定期預金、50歳以上は20,000米ドル以上の定期預金を証明しなければなりません。

最後に、ビザの延長について説明します。

30日以内の滞在なら無査証で入国できますが、それ以上の滞在を望む場合、現地の移民局でビザ延長を申請できます。

60日以上の滞在を希望する場合、1カ月もしくは2カ月と延長の期間を決めて申請できます。1カ月間の延長の場合、申請料は4,400ペソ、2カ月間の場合は4,900ペソです。それ以上の滞在を望む場合は、2カ月ごとに2,930ペソを支払って、ビザの延長を申請しなければなりません。

さらに、入国から2カ月以上滞在する外国籍者はACR-Iカード(外国人登録証)の発行を義務付けられます。50米ドル+500ペソの手数料がかかります。