私は2016年10月からスペインのバルセロナで留学を始め、今も引き続き海外生活を続けています。

留学を考えているあなたは今までたくさんの体験談に触れてきたのではないでしょうか。その多くは楽しくて華やかな海外生活だったかと思います。それはもちろん間違いではありません。日本では得られない体験が出来ますし、普段とは違う異国の地での生活は刺激に溢れて楽しいことばかりです。

ただ私は留学生活のありのままをお伝えしたいので、楽しかったことだけでなく辛かったことも含めて体験談として記したいと思います。

コミュニケーションが取れない辛い時期

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今となっては生活に慣れて辛いことも少ないですが、留学生活が始まった最初の3ヶ月は辛いことも多々ありました。

海を渡る前に語学の勉強をしていたとしても、いざ実践となると中々言葉が出てこなかったり聞き取れなかったりします。尚更私の場合は英語圏ではなかったため、学生時代に積み重ねた英語のような基礎もありません。圧倒的に知っている単語量が少ない状態です。

意思疎通をしたいけど、何度も聞き返すのは気が引けてしまう…という葛藤ともたくさん戦いました。ましてホームステイ先のホストマザーなど、自分がお世話になっている人には感謝の気持ちを示したいもの。そう思っている反面、少しの会話でさえも手こずってしまい困らせることもしばしば。何度もスペイン語に心折れそうになりましたが、勉強のモチベーションを支えたのは「早くみんなと話せるようになりたい!」という想いでした。

留学当初の学校でも辛いことは多々ありました。スペイン語がわからない状態で受けるスペイン語での授業。先生の話すことに全神経を集中させて、聞き取れた自分の知っている単語を頼りに理解します。また文章で勉強できる書き言葉と、実際に会話で出てくる話し言葉は全く違います。独特の口語表現に戸惑うこともありました。

多くの日本人は英語圏外であれば学校で友達を作ることも多少なり苦労するかと思います。まだまだ語学が初期レベルの場合は、授業時間外になると周りの欧米人などと英語で会話することも多いです。英語以外の言語を学ぶ生徒は尚更、すでに英語がペラペラな状態がほとんど。語学を学びつつも、傍には共通語を持ち合わせているという状態です。

ただ日本人は既に英語留学などを経験している人を除くと、英語を簡単に操ることができない人がほとんどだと思います。共通の言葉を持ち合わせていない、というのは留学初期であれば非常に辛いことでもあります。

語学力をできるだけ早く向上させたいという方は逆に英語に甘んじず、これをプラスに捉えてスペイン語のみで会話をしようとしてくれる友達を見つけることが良いでしょう。

また留学をするだけで語学力が向上すると考えるのは危険なことです。周りの環境に左右されることは確かですが、結局は自分がいかに語学を取り入れて実践するかということが必要です。普段から意識してスペイン語に触れるようにしましょう。

辛い時期を乗り越えた先に見えたもの

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ここまで留学における辛かったことを綴りましたが、留学が全て辛いことというわけではありません。このように感じるのも、個人差はありますが大体3ヶ月程度。この3ヶ月は自分の思った以上に早く過ぎてしまいます。私は今こうしてバルセロナに住み始めてから8ヶ月ほど経ちましたが、辛い時期を乗り越えた先に待っていたのは新たな自分でした。

がむしゃらに取り組んだ語学はお世辞にも話すことができると言えるレベルではありませんが、何とか聞き取って会話ができるようになりました。

私は留学を始めて4ヶ月が経過した頃、スペインと海を隔てて隣にあるモロッコへ旅をしました。現地ではサハラ砂漠を回るツアーに参加したのですが、日本人旅行者が私以外にも多く、日本人5人とツアーを案内してくれるモロッコ人が1人というメンバーでした。

案内人のモロッコ人はもちろん日本語を喋ることができません。しかしスペインからの観光客が多いこともあって、スペイン語は喋ることができました。そこで私は自分のもつ数少ないスペイン語を頼りに、通訳を勝手出ました。

やはり現地の人が話す情報というのは貴重なものです。その情報を他の日本人旅行者にも伝えるという役割をしていたときに、自分のもつ専門性というものを実感したのです。他の人はあまり持っていないけど、自分は持ち合わせているスペイン語力という専門性。私は自分の中のアイデンティティを1つ見つけたようで、嬉しく思いました。これは日本にいた頃では見つけられなかった自分です。

上記のモロッコ旅行をはじめとして、私は留学してから海外を旅するということに抵抗がなくなりました。まだ日本にいた頃は、日本語も通じない国で旅することに若干の不安や緊張を抱えていました。しかし今ではスペイン語を使える場所だけに限らず、その他の国へも抵抗なく1人で旅をすることができるようになりました。

日本を離れて生活することで、海外に対する恐怖心が薄れたと言えるとも思います。この変化によって、人生を楽しくする幅が広がりました。自分の知らなかった楽しい世界がまだまだあるということに気づくことができたのです。

また私は海外に出てやっと、「自分がいかに無知で、自分の意見を持っていなかったか」ということに気づかされました。語学学校において日本のことを聞かれたときに、上手く説明できない自分。(語学力の問題ではなく、日本のことをきちんと理解できていませんでした。)

また意見を求められたときに、何も答えられなかった自分。普段から自分の意見はどうなのか、考える癖がありませんでした。海外に出てみて自分を客観的に振り返り、自分に足りなかったものに気づくことができたのです。

これらの経験を経て、わたしは日本にいた頃に想像もできなかった自分と出逢えました。そして今の時間を純粋に楽しめているだけでなく、これからの人生が豊かになっていくであろうワクワクで満たされています。

留学にはもちろん辛いこともありますが、それ以上に得られるものはたくさんあります。あなたも是非留学へ一歩を踏み出して、新しい自分を見つけに行きましょう!