ある夏の終わり、6年間の社会人生活にピリオドを打ち、大きなスーツケースを2つ抱えてニューヨークの空港に降り立ったとき、私の留学生活が始まりました。

これから大学留学したい人や留学中の人の参考になればと、自分の留学体験談をお話しします。

英語が全く聞き取れない!

英語が全く聞き取れない!

編入先の大学はニューヨーク郊外にあり、空港のGround Transpotationの黒人女性に大学までのシャトルをお願いしたところ、黒人独特の鼻にかかった訛りがきつくて、何度聞き返しても言ってることが全く分からず、途方にくれました。

呆れ顔の係員がパソコンの予約画面を見せてくれて、「シャトルの会社を選べ」と言ってるんだと漸く理解でき、適当に指差して会社を選びましたが、45分も待ってやっとシャトルに乗ったときは心細くて泣きそうになりました。

日本では、英会話スクールに2年間通って、英語の映画やドラマを見て、留学生と英語で話をして、自分なりに準備していたつもりだったのに、渡米初日から全く聞き取れない事実に愕然としてしまいました。

異文化と出会う

異文化と出会う

新学期まで暇があったので、寮で友達になった留学生と喜び勇んでマンハッタンへ遊びに行ったところ、人種のサラダボウルと呼ばれるニューヨークは、右を向いても左を向いても移民だらけ。訛りの強い英語が飛び交っていて、ここは本当にアメリカなのかと目を疑うほどでした。

マンハッタンまでの電車が1時間に1本、10〜30分の延着は当たり前で待っても待っても来なかったり。タクシー運転手に中東系の訛りで怒鳴られて、自動ドアじゃないから「降りたらドアを閉めろ」と怒っているんだと分かるまで、あたふたしたり。

切符の自動販売機からお釣りが出てこなくて駅員に文句を言ったら、たった50セントなのに「本部へ郵送でClaimしろ」と申請用紙を渡されて目を丸くしたり。ハンバーガーが通じずにチーズバーガーしか注文できなかったり。今では笑い話ですが、当時は驚きの連続だったです。

やっぱり英語が聞き取れない!

新学期から、もっと大変な日々が始まりました。

教授の話が殆ど聞き取れずに宿題すら分からない、口から英語が出てこなくて授業で全く発言できない、ジャパニーズ・イングリッシュで発音が悪くて何度も聞き返される、辞書を引き引きなので教科書や参考文献は読んでも読んでも終わらない、記述式の試験で答えがわかっているのに英作文が書けないという五重苦の有様。ニューヨーカーは極端な早口で、最初の1年くらい聞き取るのが本当に辛かったです。

大学サバイバル大作戦

大学サバイバル大作戦

このままでは良い成績は取れないと奮起し、まず授業を最前列で集中して聞くこと、教授に許可を取って授業を録音し、夜に何度も聞き返すことから始めました。

次に、授業終了後に毎回、教授を捕まえて宿題を確認し、オフィス・アワーに教授室へ押しかけて、聞き取れなかったところを徹底的に質問しました。そして、英語のクラスの教授に頼み込んで、他の科目のレポートを提出前に添削して貰いました。

寮では、テレビのニュースを録画して繰り返して聞き、キャプションつきのテレビでドラマを見て、日常会話のイディオムを覚えました。また、英語のクラスの教授に勧められた「テーマを1つ決めて1ページの日記をつける」という方法を実践しました。

文法など細かいことは気にせず、和英辞書の文章を丸写しにしてもいいから、とにかくたくさん書いて、長文の英作文に慣れる訓練をしたのです。書き終えてから発音しながら読み返しておくと、文章が口から出やすくなって授業や雑談で発言できるようになり、Silent Asianの汚名を返上するのに役に立ちました。

小さな私立大学へ留学してよかったこと

編入先の大学は、こじんまりとした小さな私立大学だったので、1クラスの人数が少なくて、教授や職員との距離が近いのがよかったです。教授たちは、下手な英語で質問しても、嫌な顔ひとつせず、何度も丁寧に説明してくれましたし、職員たちは親身になって世話をしてくれ、感謝祭やクリスマスのディナーに気軽に自宅に招待してくれました。

顔を覚えて貰うこと、英会話の機会を増やすことが目的で押しかけていたのですが、そのうちに教授室に立ち寄ったらコーヒーを勧められて、大学内の噂話をあれこれ聞かされるまで親しくなれました。

また、キャンパスは安全で広々としていて、ジム・プール・馬場・劇場・ゴルフ場・野球場などの設備が整っており、週末にミュージカルや野球観戦、遊園地などに連れて行ってくれる寮生向けアクティビティも多彩で、勉強の合間をぬって学生生活をエンジョイできました。最初の留学先として、学生数の多い大規模な州立大学ではなく、小さな私立大学を選んだのは正解だったと思います。

これから大学留学をする人へ

アメリカの大学は、小テスト、レポート、課題、定期試験とぎっしりで、猛烈に勉強させられます。出席率や授業中の発言も成績の対象になります。試験や課題で90点以上を取らないとAを貰えないので、毎日きちんと予習復習して、とにかく努力することが大切です。

スピーキングの練習も大事ですが、アメリカ人学生と対等にディスカッションできるようになるには数年掛かるので、先にリスニング力を鍛えたほうがサバイバルしやすいです。良い成績を取るには、まず授業を聞いて完全に理解することが最重要課題だからです。

英語の上達は階段を登るようなもの。焦らずにコツコツと積み重ねていくことが大事なんですね。1年くらい経ったある日、耳から英語がすんなり入って、口から英語が出やすくなっている自分に気がつきました。

このように、アメリカの大学生活は予想以上に大変で、泣きたくなったことも、逃げ出したくなったことも多かったですが、投げ出さずに最後までがんばった分だけ成長できたことは間違いないと思います。