海外への進学を考える際、大学や大学院まではハードルが高いけれど、しっかりとしたスキルを身につけたいという「専門留学」をお考えの方が増えています。

しかし、一般的に専門学校というと質や設備、サポート体制にバラつきがあるのが悩みどころです。「専門留学=専門学校でも、信頼できる学校に通いたい」というご相談はよくいただきます。

そこでおすすめなのが、オーストラリアの州立専門学校「TAFE(テイフ)」です。州政府が運営する公的な高等教育機関であり、多くの留学生を受け入れています。

本コラムでは、この「TAFE」について、具体的な進路や費用、大学編入の仕組みを例に挙げながら解説していきます!

オーストラリアの「TAFE(テイフ)」とは?仕組みと特徴

TAFE(Technical and Further Education)とは、オーストラリア各州政府が運営する州立の職業訓練専門学校のことです。

都市部から地方までキャンパスのネットワークを持ち、オーストラリア全土で100校以上のTAFEが存在すると言われています。

各州のTAFEはエリアごとに教育機関が設置されており、一つのエリア内に複数のキャンパスを持つ大規模な教育ネットワークを形成しています。

大学とTAFEの違いは?

大学が「理論」を学ぶ場であるのに対し、TAFEは「実践」の場です。 留学生向けに調理、美容、ビジネス、IT、看護など、オーストラリアのほぼ全ての職業をカバーする多彩なコースを開講しています。

ただ授業を聞くだけでなく、即戦力を身につける実学的なカリキュラムが特徴です。そのため、企業からも「TAFE卒業生は十分な知識とスキルがある」と評価されやすく、海外就職の機会も広がります。

英語力だけでなく、仕事に直結するスキルが身につくため、学生だけでなく社会人のキャリアアップ留学にも大変おすすめです。

TAFEで取得できる資格と修了期間

TAFEで取得できる資格は、オーストラリアの正式な資格制度(AQF)に基づいています。主に大学の学士号に次ぐ資格であるDiploma(ディプロマ)やAdvanced Diploma、その前段階のCertificate(サーティフィケート)が取得可能です。

これらは専門分野において一定レベル以上の知識やスキルがあることを証明する「公的資格」となります。

資格の種類期間
Certifcate 1~2数週間~半年間
Certifcate 3~4半年間~1年間
Diploma1年間~2年間
Advanced Diploma1.5年間~3年間

TAFEで学べる主な専攻・コース一覧

TAFEには「オーストラリア中の職業をカバーできる」と言われるほど多岐にわたるコースがあります。以下は代表的な専攻分野です。

エンジニアリング・建築

エンジニアリング / コンピューター / タイル職人 / テレコミュニケーション / ビルデザイン / ブロックレイヤー / 海洋技術 / 機械学 / 建設工事 / 建築 / 建築環境 / 航空学(技術職) / 航空業務(サービス業) / 鉱山業 / 車両技術 / 大工職人 / 電気学 / 電子機械工学 / 土木工学

環境・科学

ナノテクノロジー / バイオテクノロジー / 応用科学 / 化学 / 海洋科学 / 海洋生物学 / 環境科学 / 環境経営 / 環境調査 / 原子力学 / 持続可能な環境学 / 食品学 / 心理学 / 人文地理学 / 生物学 / 地質学 / 物理学 / 保護学 / 輸送&流通

教育と生活

コミュニティーサービス / チャイルドケア / 高齢者介護 / 初等教育 / 中等教育 / 福祉 / 幼児教育

芸術

アニメーション / インテリアデザイン / ウェブデザイン&デベロップメント / グラフィックデザイン / ゲーム / ジュエリーデザイン / スクリーン&メディア・ラジオ / ファッションテクノロジー / ファッションデザイン / マルチメディア&ゲームデベロップメント / 印刷/グラフィックアート / 映画制作 / 演劇 / 音楽関連 / 音響制作 / 靴メーカー / 芸術 / 写真 / 商業デザイン

言語・法律

英語教授法 / 言語学 / 通訳 / 法学

コンピュータ・IT

IT・情報 / インタラクティブメディア / ソフトウェアエンジニアリング / ソフトウェア開発 / ソフトウェア開発(モバイルアプリケーション) / デジタルシステムセキュリティ / デジタルメディアテクノロジー / テレコミュニケーション / ネットワーキング / ネットワークデザイン&マネージメント / プログラミング(アプリケーション) / 企業システム開発

農業・園芸・動物

オーガニック栽培 / ワイン醸造学 / 園芸 / 景観・造園デザイン / 水産養殖 / 動物科学 / 動物学 / 動物看護 / 農業 / 馬術 / 保全と土地管理 / 灌漑管理

ビジネス

コミュニケーション / ジャーナリズム / ビジネス / ホスピタリティマネジメント / ホテルマネジメント / マーケティング / マーケティング・広告 / 会計 / 金融 / 経営 / 経済 / 広報・広告 / 国際ビジネス / 国際関係 / 作文・編集 / 事務・秘書 / 商業 / 小売業 / 人事 / 統計学 / 不動産 / 報道学

ヘルス

アロマセラピー / エクササイズとスポーツ / カイロプラクティック / スポーツ・フィットネス / ビューティーセラピー / マッサージセラピー / リハビリ / 医学 / 医学生物工学 / 医療マッサージ / 栄養学 / 看護 / 健康 / 口腔衛生 / 歯科 / 歯科衛生 / 歯科技工士 / 歯科助手 / 助産婦 / 美容師 / 薬学 / 理学療法

ホスピタリティ&ツーリズム

アウトドアリクリエーション / イベントマネージメント / ガイド / パン職人 / フード&ビバレッジ / ホスピタリティー / ホスピタリティマネージメント / ホテルマネージメント / 菓子職人 / 食肉加工 / 調理 / 予約システム / 旅行業

TAFE留学の5つのメリット

TAFEのコース(特にCertificate IV以上)を修了することは、その分野での実践力を証明することになり、キャリア形成において非常に有利です。

  • 学費が安い
    大学と比較して大幅に費用を抑えられる。
  • 入学しやすい
    大学と比較して出願要件(英語力や成績)が低めに設定されている。
  • 大学編入が可能
    卒業後、大学に編入できるルートがある。
  • 就職に直結
    実習中心の授業で、即戦力として評価されやすい。
  • アットホームな環境
    少人数制なので教員やスタッフにアクセスしやすい。
  • 卒業生ビザの可能性
    一定条件(2年以上のプログラムなど)を満たすと、卒業生ビザ(18か月間)の申請資格が得られる場合がある。

TAFEから大学編入を目指す

TAFE修了後(Diploma以上)は、そのまま就職するだけでなく、大学へ編入を目指す学生も多くいます。

多くのTAFEが大学と提携し、「Diploma to Degree Pathways」というプログラムを実施しています。TAFEでDiplomaやAdvanced Diplomaを一定の成績で修了すれば、大学の2年次(または3年次)に編入が可能です。

「TAFE(学費が安い)+ 大学(学位取得)」という組み合わせることで、最初から大学に通うよりもトータルの留学費用を大幅に節約できるのが大きな魅力です。

モデルケース:TAFE Queenslandからの編入例

TAFE Queensland(テイフクイーンズランド)

編入パターン①:ビジネス専攻

TAFE Queensland:Diploma of Business

University of Canberra(キャンベラ大学)
:Bachelor of Business Administration(経営学士号)の2年次へ編入

編入パターン②:観光・ツーリズム専攻

TAFE Queensland:Diplama of Travel & Tourism

University of Canberra(キャンベラ大学):Bachelor of Event Management & Tourism Management(イベントマネジメント&ツールズムマネジメント学士号)の2年次へ編入

提携大学

TAFE Queenslandの提携大学は前述のキャンベラ大学以外には、下記の大学があります。

  • Australian Catholic University(ACU)
    オーストラリアン・カソリック大学
  • Bond University
    ボンド大学
  • Central Queensland University
    セントラル・クイーンズランド大学
  • Griffith University
    グリフィス大学
  • Queensland University of Technology (QUT)
    クイーンズランド工科大学
  • Southern Cross University (SCU)
    サザンクロス大学
  • Charles Sturt University
    チャールズ・スタート大学
  • University of the Sunshine Coast (USC)
    サンシャインコースト大学
  • The University of Queensland (UQ)
    クイーンズランド大学
  • University of Southern Queensland
    サザン・クイーンズランド大学
  • James Cook University (JCU)
    ジェームズ・クック大学

よくある質問(Q&A)

Q1. どの都市でTAFEに通うのがおすすめですか?

オーストラリア全土にTAFEがありますが、人気が高いのはシドニー(TAFE NSW)、ブリスベン(TAFE Queensland)、メルボルン(Melbourne Polytechnic)などです。都市によって学べる分野や雰囲気が異なるため、目的に合わせて選ぶのがポイントです。

Q2. 日本の専門学校との違いは何ですか?

日本の専門学校が国内就職を前提とした教育なのに対し、TAFEは「国際的に通用する資格・スキル」を重視しています。授業は実習中心で、業界と連携したカリキュラムが組まれているため、即戦力として働けるスキルを磨けます。

Q3. どんな専攻・コースが人気ですか?

留学生に人気のある専攻は、ホスピタリティ、クッカリー、チャイルドケア、IT、グラフィックデザイン、看護、ビジネスなどです。いずれもオーストラリア国内の人材需要が高く、実践的なスキルを身につけることで現地就職につながる可能性があります。

Q4. 費用はどのくらいかかりますか?

コースや州によって異なりますが、1年間の授業料はおおよそA$10,000〜A$18,000が目安です。大学と比べて学費が抑えられるのがTAFEの大きな魅力です。生活費を含めても、留学全体のコストを低く抑えられます。

Q5. TAFEの授業はどんな雰囲気ですか?

授業は少人数制で、実習・プロジェクト中心です。先生も現役の業界経験者が多く、最新のトレンドや技術を学ぶことができます。座学よりも「やって覚える」スタイルなので、英語が完璧でなくても積極的に取り組める環境です。

Q6. TAFE留学はどんな人におすすめですか?

「手に職をつけたい」「英語だけでなく実践的なスキルも身につけたい」という人に特におすすめです。大学進学よりも短期間で専門スキルを学べ、現地での就職チャンスも広がります。将来、オーストラリアで働きたい人や、帰国後に国際的なキャリアを築きたい人にも最適な選択肢です。

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TAFE留学は、年間費用を100万円台に抑えつつ、専門スキル習得と海外生活を実現できる賢い選択肢です。 また、オーストラリアは留学生でもアルバイトが可能なため、生活費を補いながら学ぶことができます。

アメリカのコミカレ同様、「費用を抑えて大学進学を目指す」方法としてもTAFEはおすすめです!

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